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根っこの治療って何してんの❓

2021.10.09

こんにちわ、府中の府中ワンデイデンタルです。今日は根っこの治療についてです。

歯髄がある場合

歯牙はエナメル質・象牙質に守られた歯髄が中心にある構造体であります。虫歯に侵されると象牙質内の有機質・無機質ともに変成してしまい軟化象牙質という柔らかいものに変わります。その範囲が歯髄近くまで広がると象牙細管という小さな管を伝って歯髄にまで炎症が波及し強い痛みが出てしまいます。通常大臼歯で歯の表面から歯髄までの距離は5mmあり、歯髄を守っているのですが、眠れないほどの痛みが出るとさすがに治療しないと痛みが取れず、通常は抜髄という歯の神経を取る治療になります。麻酔をかけて数回根っこの管の中をマイクロスコープで拡大して精製水と次亜塩素酸ナトリウムで洗浄します。治療と治療の間は強アルカリ性の水酸化カルシュウムで根管内を満たしておいて細菌の増殖を抑えます。根管塗布材は様々ありますが現時点で論文がありエビデンスがあるのは水酸化カルシウム一択になります。痛みが取れたらゴム製の充填剤を根管内に入れて根っこの治療は完了です。

歯髄が無い場合

一度根っこの治療を受けている歯にも根っこの先に炎症が起き治療になる場合があります。現時点での日本における根管治療の再根管治療になる率は、40%ほどだといわれています。被せ物を外して土台を取って根管内の充填物を除去していきます。数回あればきれいに取れます。この場合、治療をすると一過性で強い痛みが出たり、腫れが出ることがありますが数日で収まってきます。再根管治療の目安は前回処置から5年以上経過しており、レントゲン上で炎症所見が見られる場合は要根管治療です。ただ、痛みや腫れがある場合は5年以内でも再度根管治療を行います。

歯髄が無いのに治療で痛み

根っこの治療をする場合歯髄が無いのに患者さんが痛みを感じる場合があります。これは根っこの周りの歯根膜という組織内にある神経が急性の炎症症状による毛細血管の腫脹の影響で痛みを感じる場合です。これも治療が進んでいけば収まってきます。ただ痛みが意外と出ることがあるので、神経ないのに何でと感じる方も多いですね。しかも一度治療が行われている歯牙に出る炎症ははなかなか治らないものもあるので事前の説明が大切になります。

残念ながら治すのが困難な場合もあります。それはひびが入っている場合です。この場合は何とかひびを埋めようと試みますが思うような結果にはなりづらいです。身の回りのものに例えると陶器の花瓶に似ています。ひびが入ってしまうとどうしてもひびが大きくなっていってお水が漏れるようになってしまいます。これが歯牙だとさらに咬合圧がかかってしまうのでなおのこと保存が難しくなります。ただのひびですがされどひびって感じです。

最善の根管治療は

歯髄を触らないことです。根管治療をしてしまえば歯牙が中空構造になるので構造物としての強度が落ちます。それでも問題が起きにくいように色々と工夫して修復していきます。コアのポストの長さを短くしたり、なるべく根幹拡大の量を少なくするためにマイクロスコープを使ったり等など。またどうしても被圧に対する感受性が神経がなくなると甘くなるので、歯ぎしりが強い人では就寝時にマウスピースを使っていただくのを推奨しております。根管は生体の中で唯一外と体内をつなぐ組織です。根管治療はその外と中をつなぐ管の中の細菌を除き、再感染しないようになにがしかの人工材料でふさぎ、最近の侵入を防ぐ治療です。細心の注意を払い、ゆっくりとでも素早く作業を終え、なるべく元通りに復元することが求められています。

今日も10倍近くに拡大した視野の中、10ミリ前後の大きさの歯牙と格闘中。