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2022.8.6ヤンリンデセミナー
2022.08.11

COVID19下のリンデ研修10回目になります。歯周病の進行を抑制特に重症な方の治療についてでした。

やっぱり基本はなるべく何もしないこと

といってもほんとに何もしないわけではありません。診査 診断を行い、基本治療を行ったら定期検診と歯ブラシ指導だけで対応しようというもの。深いポケットがある場合は外科的処置が完治には必要となります。骨のきつ状欠損が生じたり、大臼歯の根分岐部に骨吸収が進むと水平的にも歯の根っこの周りにトンネルのような穴ができてしまい、炎症が起きやすくなり、プラークの除去が難しくなります。ただ、目指すところは歯周ポケットからの出血をなくし、深いポケットをなくし、安定した咬合を作ることになります。

重度歯周病

この場合は骨縁下にポケットがあり、ポケットからの出血があり、ポケットの深さが6mm以上あることが多いです。このような重度歯周病患者で、その病因となるのは以前は咬合に起因すると考えられていましたが、現時点では歯牙の解剖学的形態が影響していると考えられています。1952年にはWaerthaugらが歯周病の病因がプラークであることを突き止めています。プラークがポケット内に侵入すると炎症細胞が浸潤していき、骨は吸収していきますが炎症細胞が浸潤している組織から骨頂までは2ミリほどあるのが常で骨自体が炎症に巻き込まれることはありません。骨に厚みがあればくさび状に骨欠損を起こし、骨が薄ければ垂直的に骨が喪失していきます。骨が厚いところとは臼歯部のような歯根同士が離れているところであり、骨が薄いところは前歯のような歯根がくっついているところになります。骨欠損進行のスピードはその部位に付着しているであるうプラークの量次第である。

くさび状であれ垂直的であれどのように骨喪失がある部位に対してどのように治療を進めるのでしょうか。結論から言うと外科処置をして適切な定期メンテナンスを繰り返せば問題ありません。論文としては1991年のWennstrom先生の論文で200人、25から70歳の歯周病患者に対して治療を行わず自己管理だけで10年後のデータを取りました。するとスタート時は90%の垂直的骨欠損部位と10%のくさび状骨欠損がありましたが、10年後のデータを取るとこの数値が逆転し、くさび状骨欠損の部位が過半数の部位に起こっていました。そうすれば当然歯牙の喪失も起こってくる。 また外科的治療を施した場合はどうかというと、1988年にPontorieroらが、48名の重度な歯周病患者に対して、治療を行い10年後のデータを取っています。治療方法は、まず初めに診査診断を行った後、TBIと基本治療であるスケーリングを行い、再審査をし、ポケットが6ミリ以上で出血のある部位にはフラップを行いました。その後3から6カ月毎に定期的メンテナンスを繰り返し、メンテナンスのたびに審査し、出血のある部位には麻酔下で深いところまでスケーリングを行った。この結果は10年後もほぼ変わらずというものでありました。

したがって、診査診断を行い、TBI基本治療を行い、再審査をし、必要な個所に外科処置を行い、定期検診を繰り返せば歯周病の進行は抑えられるのです。

くさび状骨欠損

くさび状骨欠損であるがこれには1壁、2壁、3壁の3つのパターンがあるが、1壁は治療がなかなか難しく、2壁、3壁は予後良好である。くさび状の骨欠損を外科処置できれいにし、欠損部位に血餅ができるようにすれば予後は期待できます。また、骨整形(歯牙に接していない部位の骨の形態修正)、骨切除(歯牙に接している部位の骨の形態修正)を順次行う。このスペースに自我骨や人工骨を足したり、エムドゲインという豚タンパク質から作った骨誘導物質を併用することもあります。骨に触る触らないで結果は違いが出ます。論文では触らない方がデータとしてはよくなっています。1976年のRosling ,1977年のPolson,2000年 のLang、2008年のMatulial等様々なものがありますがどれもすでに20年越えの論文で十分に議論しつくされております。要は治るということ、SPTを定期的に続ければ10年間はほぼ変化は起こらないということ。これらの論文は母集団の多さには差がありますが結果には大きな差は出ておりません。ただ治癒形態としては解剖学的に正常な歯周組織が再現されているのか、はたまた近い形態で再現されているのかは組織切片を作らなければわからないので不明となっています。昔は作れましたは現在では困難です。

根分病変

これは歯周病が進み、大臼歯部で垂直的骨吸収が5ミリ以上発生すると起こってきます。奥歯は一つの歯に対して上顎では3本、下顎では2本の根っこがあります。この根っこの股の部分が骨吸収が顕著になると露出してきます。当然、診査/診断/基本治療/再審査を行うのですが、第二大臼歯に根分岐部がある場合は70%の歯牙は抜歯になり、第一大臼歯だと30%の歯牙が抜歯となります。そうしておいて定期検診を続けていくと10年後の歯牙の残存率は96%になります。参考論文としては、1996年のWennstrom先生の論文が良いかと思います。

まとめ

いかなる歯周病であれ、診査診断を行い治療に当たれば、少なくとも10年は維持できるものである。現在ではいろいろな薬剤、施術方法が存在しますがやはり基本となるのは術者がいかに患者さんに寄り添い、ともに協力していくかにかかっているような気がします。

それではまた

 

 

 

 

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院長 植田貴久
Takahisa Ueda
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