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カリオロジー zoom研修 peter Lingstrom
2022.09.01

こんにちわ府中市のワンデイデンタルです。

先週の土曜日の午後zoomでイエテボリ大学カリオロジー科教授ドクターピーターの講義に参加してきました。研究分野で世界最高位の大学の講義となります。カリオロジーとは虫歯に対する研究とその修復を行う講座となります。臨床前実習は今では3Dで行っているようです。日本には10万人の歯科医師がいますがスエーデンでは1万人弱の歯科医師しかいません。その人数で多くの国民のカリエスリスクを大きく下げることに成功しています。2017年の論文でスエーデンにおけるカリエスの減少について論じられており、1973年から2013年の期間で10代から60代のどの年代においても大きくカリエス患者数が減少しているという結果が出ております。これはその他の国においても起こっていますが、スエーデンでは圧倒的に減少しています。その理由はいかなることが挙げられるのでしょうか。早い時期からの予防戦略の確立、24歳まで歯科治療が無料、後は国のサイズがコンパクトということも要因かもしれません。ただ現在においてもカリエスがゼロではないので修復ということも大きなウエートを持っているようです。

デンタルカリエス

世界規模でみると歯科における問題の第一位は永久歯の未治療歯となります。2021年の論文でスエーデンにおける12歳以下の年齢で考察すると3歳以降はカリエスがある程度増加しています。また過去10年間はあまり大きく変わってはいません。dftで1以下ですが(とても虫歯の人が少ないということです)。またすべての年齢で考察しても、年齢の増加とともにカリエスが増加する傾向は示しています。とはいっても過去10年間で観察すると20代から60代にかけてはその年代だけで見るとカリエス傾向は減少傾向にあります。70代80代においては残念ながら増加傾向にあります。これはスエーデンのみならず日本においても同じ傾向を示しています。またカリエスフリーな児童はというと12歳児で60から75%を示しており、これは非常に高いものですね。

問診の重要性

カリエスリスクは様々です。他の疾患の有無、行動様式、教育、経済状況、口腔内細菌数、唾液の性状等々があります。なのでまずは歯に関して問診していくことが大切となります。一日に何回くらい磨きますか、一日に何回くらい食べますか、薬は飲んでますか、歯磨き粉は使ってますか、それにはフッ素は入ってますか、歯間ブラシやフロスは使っていますか、等になります。したがって患者さん一人ひとり状況が異なるので、一人ひとり虫歯予防の対応が違ってきます。基本的な考え方はいかにバイオフィルムを減らすかなので、歯周病に対する考え方と類似しています。そうそう家族歴も大切です。3親等以内の身内の方のカリエスリスクについてです。最近よく話題にあがる遺伝子にかかわる問題としては、唾液の性状(漿液性と粘液性の唾液の分量)、甘味に対する過敏度、歯牙の構成要素の割合(無機質と有機質の比率)です。この中で調査可能なのは甘味に対する感受性です。甘党な方だとリスクが上昇する可能性が高くなります。

カリエス診査診断

問診によって今までどの程度虫歯があったかを聞くことによって、これからどの程度カリエスリスクがあるかを予測することができます。進行の早いタイプの虫歯なのかまたはそれほど進行しないタイプなのか。カリエスが現時点でエナメル質にとどまっているのか否か。こんな間隔で通院してもらえて、このような口腔内のお手入れをしてもらえたなら今後10年でこんな感じになっていきますよとか、ほとんど変わらなくて心配ないですよとか伝えてあげることができます。カリエスに対する感度の差異によって患者さんに伝える情報や指導法も変わってきます。Cariogramなんてのもありますね。様々な情報を入れると現在のリスクが浮き彫りになり、今後の予防の具体的方針が示されます。リスクはあくまでも傾向であって、悪習癖ではないので単なる情報として患者さんに伝えるだけにしています。

カリエスリスクと歯科治療

歯周病やワイヤー矯正、補綴による連結は清掃性が落ち清掃する部位が増えるという点でカリエスリスクが上昇するかもしれません。高齢者になってくるとどうしても糖分の摂取が増える傾向がある為これもカリエスリスクの上昇を招きます。唾液量の減少、疾病による薬の服用の上昇に伴うドライマウス。服薬による唾液の減少は刺激時でも安静時でもどちらにおいても唾液流量の減少が起こり得ます。特に安静時唾液の減少が顕著化します。また喘息の方も口腔内の乾燥に悩まされているようです。最近は電子タバコを使用する方もドライマウス傾向があるようです。

虫歯は病気

ドクターピーターが力説されていたのは、虫歯は病気であるといううこと。全身の疾患に関与しますよ。でも十分に予防でき、各自でコントロールできますということでした。続きはまた9月下旬に

それではまた

 

 

 

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院長 植田貴久
Takahisa Ueda
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