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ドクターリンデ ウエブセミナー 2022.6.10
2022.07.05

こんにちわ 府中市のワンデイデンタルです。

久々のDr.リンデによる研修。

歯周病の診断と治療方法についての講義でした。今年も3回の開催となります。歯周病の定義は何回かの変遷を経て2017年が一番新しい定義となります。その解説はのちほど。歯周歯肉の健康な状態とはいかなる状態でしょうか?簡単に言うと歯肉から血が出ていなければオッケーです。細かいことを言うと、プローブという器具で歯肉を触ったときポケットの深さが4ミリ以内で出血が無く、セメントエナメル境から2ミリぐらいのところに骨頂があるとほぼ健康な歯周組織と言えます。この状態の維持にはもちろんブラッシングとメンテナンスが大切となります。これにより歯根膜が歯根のセメント質内に埋入しつつ、歯槽骨に埋入していることによって顎堤が維持されています。

歯周病と歯肉炎

悪者扱いの歯肉の炎症たちですが、生体にとってマイナス要因となる細菌の侵入を防ぐための宿主による防御としての反応にすぎません。ただ歯肉から出血したり、骨が無くなって歯がぐらぐらしたりという現象としてのデメリットももちろんあります。歯肉が腫れて、赤くなって出血してくればこれに当たります。対応策としては、上述したブラッシングと定期的メンテナンスです。これは細菌に対する歯肉の対抗策であり、コラーゲンが抜けると、毛細血管が腫脹し、血管壁の細胞間隙が拡大することによって、白血球やプラズマセル、マクロファージ等が細胞内に漏れ出し、これらの自己細胞の侵入してきた細胞との戦いの中で分泌される酵素つまりはロイコトキシンにより自己組織の破壊が歯肉腫脹等の炎症反応として口腔内に現れる。これらの症状を助長する要因としては、女性ホルモン、糖尿病、白血病、抗てんかん薬等が挙げられます。

歯肉炎は可逆性の炎症でブラッシングとメンテナンスで十分改善していけます。しかしながら歯周病になってくるとブラッシングとメンテナンスで改善していくことは可能なのですが非可逆性の骨吸収を呈してくるので、細かく検査を行い改善に努めなければなりません。歯肉から出血があり、歯肉が退縮していて、骨吸収があるのが特徴的症状となります。骨吸収の度合いによって歯牙の生存の可否が決まります。基準値としては、歯根長の三分のニを超える骨吸収があるかないかで判断します。ポケットが深くなれば腫れやすいですし、大臼歯の骨吸収が大きくなれば手入れが複雑になり、骨吸収が大きければ歯牙の動揺が大きくなり単独歯での保存が難しいです。

歯肉炎及び歯周病の治療

基本はブラッシングと定期メンテナンスです。これで治らなければ外科的治療に移行します。目的は歯周病に関与する細菌のバイオフィルムの除去になります。エアフロー、YAGレーザー等で炎症を抑えつつ、フラップを併用して歯肉縁下の細菌除去に努めます。治療効果を上げるためには残念ながら保存が難しい歯牙は抜歯します。ただ抜きすぎても歯が無くなりすぎて予後が悪くなりますし、疑わしい歯を無理して残しても再治療となってしまうスパンが短くなるので、この辺りは患者さん一人一人と相談しながらの治療方針の選択となります。歯牙がかみ合うことは咀嚼や発音において重要であるだけではなく、消化であったり、身体の平衡バランスへの関与、脳頭蓋への血液供給の補助等多岐にわたります。その根底には歯牙をしっかりと骨で支えることが必須となります。そのための歯周病の予防となるのです。糖尿病の抑制や心臓疾患の予防と防止にも関与が示される論文が出ております。

統計的には、30代になると歯周病の罹患率が増え始めおおよそ全体の4割ほどに達します。そこからは、40代で6割、50代以降は8割に達するといわれております。したがって、健康寿命を鑑みるなら歯周病の予防は必須かと思われます。

プラークはなぜ取り除くべきなのか

この辺の研究は1960年代にはすでに始まっていました。いろんな種類の細菌の関与が同定されてきましたが、現時点においてもいまだ歯周病細菌については研究継続中といったところです。ただプラークが歯周病発症に関与していることは間違いないので、プラークの除去は歯周病予防の第一選択となります。プラークが歯肉辺縁に付着すると歯肉炎が起きます。プラークが付着すると、㌘陽性桿菌、グラム陰性桿菌,フゾバクテリア、スピロヘータ等が2週間ほどで増殖し歯肉炎を発症する。プラークが浸潤したそばには炎症細胞が発生し、タンパク質溶解酵素を出すので、これにより繊維質や骨が溶解していく。これによりプラークが更に根尖へと進んでいくので炎症帯も下に下にと進んでいくため、垂直的な骨吸収が進み、歯牙の動揺を引き起こし、歯牙の喪失、歯列の喪失へと波及していく。

歯肉炎から歯周病への移行

歯肉炎になると必ず歯周病になるのでしょうか。この答えはNOです。歯肉炎の人の半数が歯周炎へと移行し、のこり半分の人は歯肉炎のままです。この違いは宿主である個々人の炎症に対する抵抗力によって決まります。プラークが無ければ炎症は起こらないのでこれがベストですが、免疫応答によってプラークがついていても何ともない人もいれば、どんどん浸食されていく人もいます。抗生剤や歯磨剤もあくまでも補助的なものでありバイオフィルムはデブライメントつまりは機械的除去であるブラッシング以外に各自が取り除く方法はないのが今現在のところである。遺伝子ゲノム解析で歯周病罹患の感度を判定できるが予防するにはお手入れしかない。

Tepe最強である。

それではまた

 

 

 

 

 

 

 

 

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院長 植田貴久
Takahisa Ueda
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